抄録
減数分裂時の相同組換えは性や年齢、温度などの影響を受けることが知られている。我々はシロイヌナズナを材料としてゲノム全体における減数分裂時の相同組換えを検出する方法を確立した。そしてこの方法を用いて長日条件下で育てた植物の主茎において4~9番目に咲く初期の花(発芽後約3~4週間)の雌性配偶体形成時の組換え頻度は30~40番目に咲く後期の花(発芽後約5~6週間)の雌性配偶体形成時の組換え頻度より低いことを明らかにした。一方、初期の花と後期の花において雄性配偶体形成時の組換え頻度には違いはなかった。なお初期、後期それぞれの時期の花における雌性配偶体形成時の組換え頻度は雄性配偶体形成時のそれよりも低かった。
今回これらの事実を基に、植物体の雌性配偶体形成時の組換え頻度の変化と植物個体のエイジの関係を詳しく調べた。長日条件下で育てた植物のロゼット葉から生じる側枝につく初期(発芽後約5~6週間)・後期(発芽後約8~10週間)の花、および短日条件下で生じる主茎につく初期(発芽後約9~10週間)・後期(発芽後約13~15週間)の花に関して、各配偶体形成時の組換え頻度を調べた。これらの結果から生殖生長時の相同組換えに関与する茎頂分裂組織のエイジについて考察したい。