日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ヒロハノマンテマの黒穂菌感染擬似両性花における花形成遺伝子ホモログの発現様式
*風間 裕介小泉 綾子河野 重行
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p. 497

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抄録
ヒロハノマンテマはXY型の性染色体をもつ雌雄異株植物である。雌雄どちらの花芽にもはじめ雄蕊原基(♂)と雌蕊原基(♀)が形成されるが、雄花(♂)では雄蕊(♂)のみが成熟し、雌花(♀)では雌蕊(♀)のみが成熟する。黒穂菌が雌株(♀)に感染すると、黒穂菌感染雌株(♀)は雄蕊(♂)原基も発達させて擬似的な両性花をつける。花芽形成遺伝子のヒロハノマンテマホモログ(SlLFY, SlWUS, SlUFO等)を単離するため、直径1mm 以下のつぼみから合成したcDNAをテンプレートに縮重PCRを行った。単離した花形成遺伝子ホモログとBクラス遺伝子SLM2の、雄(♂)、雌(♀)、黒穂菌感染雌(♀)における発現パターンを、in situハイブリダイゼーションで調べた。SlLFYは、花器官が分化していないステージ1において雌雄の花芽全体で発現していたが、がく片と雌蕊(♀)原基が分化するステージ4では第3,4 Whorlにおける発現は消失していた。SlUFOは、雄蕊と雌蕊が未分化のステージ2において、雌雄に関係なく第2,3 Whorlで発現していた。SlUFOの発現が見られない第4 Whorlの表面の細胞数は、雄花では23であったのに対し、雌花(♀)と感染雌花(♀)では42であった。雄蕊が発達する感染雌花(♀)でも、発達初期の第4 Whorlの大きさは、雌花(♀)と同じように雄花(♂)よりも大きいことが示された。
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© 2006 日本植物生理学会
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