日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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内珠皮特定層の細胞死におけるδVPEが局在する新規構造体の解析
*中畦 悟山田 健志國枝 正近藤 真紀西村 幹夫西村 いくこ
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p. 501

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抄録
液胞プロセシング酵素(Vacuolar Processing Enzyme; VPE)は、液胞タンパク質の成熟化に関わる酵素として発見されたcysteine proteaseである. シロイヌナズナδVPEは種子発生初期に内珠皮の特定の細胞層(ii2・ii3層)に一過的に発現する.これらの細胞層では種子形成の過程で細胞死が進行する.δVPE欠損株では内珠皮の細胞死に遅れがみられる.動物のアポトーシスでは実行因子としてCaspasesが知られているが,δVPEはCaspase-1活性を持っている.以上の結果から,δVPEが種皮形成を目的とする内珠皮層の細胞死に重要な役割を果たしていることを示した.
今回我々は,δVPEの局在する新規の構造体に注目して解析を行った.この構造体は電子密度が高く,内珠皮の特定細胞層における細胞死の初期に細胞膜と細胞壁の間に出現する.この構造体を遠心によって沈殿画分を得ることで粗精製し,その内容物をN末端シークエンスによって同定した.その中の1つの因子について抗体を作製し,イムノブロットによって解析したところ,発現時期・器官がδVPEと非常によく似ていた.また蛍光抗体染色の結果から,δVPE同様,内珠皮の特定の細胞層(ii2・ii3層)に一過的に発現する事が分かった.以上の結果からこの新たな因子はδVPEの関連因子で内珠皮細胞死に関与していると考えられる.
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© 2006 日本植物生理学会
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