日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

ニッケル耐性タバコBY-2培養細胞から単離した無傷液胞の成分分析と液胞膜小胞の輸送活性
*齋藤 彰宏樋口 恭子吉羽 雅昭但野 利秋
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 523

詳細
抄録
我々はNiのファイトレメディエーションを可能にする新しい遺伝子組み換え作物の作出を目指して、植物細胞レベルのNi耐性と集積のメカニズムについて研究を行ってきた。これまでに、タバコBY-2細胞からNi耐性変異株(NIT細胞)を確立し、そのNi耐性機構に細胞内の有機酸やヒスチジン(His)がキレーターとして関与し、また細胞内のNiが液胞へ隔離されていることを示してきた。これらを踏まえNIT細胞から高純度の無傷液胞を単離して液胞内成分を分析した。Niとクエン酸の細胞内分布は、どちらも液胞内にほぼ100%が局在していた。一方、リンゴ酸はNi無処理では全体の95%以上が液胞に局在するものの、Ni処理によって85%まで減少した。Hisは全体の約60%がNIT細胞の液胞内に局在した。Niやこれらキレート物質が液胞内に多量に存在することから、Niの液胞への効率的な輸送にキレート化が関与する可能性が示唆された。そこで、無傷液胞から再構成した液胞膜小胞を使って、液胞膜のNi輸送能を測定することにした。Ni輸送速度の測定には生体膜非透過性のZn・Ni特異的蛍光プローブであるNewport Green DCFニカリウム塩を用いた。あらかじめpH勾配を形成させた液胞膜小胞を用いて、Ni2+、クエン酸―Ni、His―Niなどの輸送速度を測定した結果について報告する。
著者関連情報
© 2006 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top