日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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13C及び15N標識によるphy3-LOV2ドメインの振動シグナルの解析
*岩田 達也野崎 大佐藤 義彰佐藤 恭介二科 安三志賀 潔徳富 哲神取 秀樹
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p. 541

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抄録
植物の青色光受容体であるフォトトロピンは、光受容ドメインとしてFMNを結合したLOVドメインを2つ持っている。我々はホウライシダ フィトクロム3のLOV2ドメイン(phy3-LOV2)を用いて、低温赤外分光法によりその光誘起的構造変化について研究を行ってきた1, 2。得られたスペクトルについてより詳細に議論するために13C及び15N標識体を作製し、赤外シグナルの同定を試みた。
[2-13C]FMN再構成体により、C(2)=O基の変化を明らかにした。このC(2)=O基は光反応によってその水素結合が弱くなることがわかった。一方、[1,3-15N2]FMN再構成体から、N(3)-H基は基底状態で非常に強い水素結合を形成しており、S390でその水素結合をさらに強めることがわかった。FMNのC(4)=O基の変化と併せて、FMNのリングIIIとそれを取り囲むアミノ酸側鎖の水素結合ネットワークの変化を明らかにすることができた。LOVドメインのαヘリックスやβシートに構造変化を引き起こすことから、フラビン-チオール形成による直接の変化より、FMNの水素結合ネットワークの変化がタンパク質骨格の変化に重要である可能性が示唆された。
1. Iwata et al. (2003) Biochemistry 42, 8183.
2. Nozaki et al. (2004) Biochemistry 43, 8373.
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© 2006 日本植物生理学会
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