日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

フェオフォルビドaの蓄積が誘導する光非依存的な細胞死
*平島 真澄田中 亮一田中 歩
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 564

詳細
抄録
フェオフォルビドaオキシゲナーゼ(PaO)は、フェオフォルビドaに酸素を添加してポルフィリン環を開環する反応を触媒する酵素で、クロロフィル分解の鍵酵素であると報告されている。PaOはAccelerated cell death 1ACD1) 遺伝子にコードされていることから、PaOの発現が抑制され、その基質のフェオフォルビドaが蓄積すると、細胞死が誘導されると推測された。そこで我々は、アンチセンスRNA法でPaOの発現を抑制したシロイヌナズナ形質転換株(As-ACD1株)を用いて、細胞死の研究を行った。
As-ACD1株を暗処理すると、フェオフォルビドaが蓄積する。暗処理後のAs-ACD1株に光を照射すると葉は白化した。これは、励起されたフェオフォルビドaにより発生した一重項酸素が原因であると推測された。また、As-ACD1株を暗処理すると、その後光を照射しなくても葉で細胞死が誘導され、この場合には葉は白化せずに萎れることがわかった。これは蓄積したフェオフォルビドaが、一重項酸素の発生を伴わずに細胞死を誘導する事を示唆している。このような光を必要としない細胞死は、他のクロロフィル中間体が蓄積する変異株でも報告がない。我々は現在この光非依存的な細胞死について研究を行っており、本大会では電子顕微鏡による細胞構造の観察結果や、プログラム細胞死マーカー遺伝子の発現についても報告したい。
著者関連情報
© 2006 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top