日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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緑色硫黄細菌Chlorobium tepidum由来のメチル基転移酵素BchUのバクテリオクロロフィル c合成経路における役割
*原田 二朗和田 啓大角 重明山口 瞳佐賀 佳央新美 景子大岡 宏造福山 恵一民秋 均
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p. 565

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抄録
緑色硫黄光合成細菌Chlorobium tepidumは膜外アンテナ系のクロロゾーム内の色素として、バクテリオクロロフィル(BChl)cを持っている。近年この菌におけるゲノム解析およびに分子遺伝学的手法によって、BChl cの生合成経路が明らかとなりつつある。この経路では、クロリン環のC-20位にメチル基を導入する酵素、BchU、がBChl cの合成に必須であることが分っている。しかし上記の解析のみでは、BchUが合成経路上のどの段階で働くかは不明である。本研究ではBchUの反応特性をin vitroで調べることにより、本酵素の生合成経路上での位置を解明することを試みた。精製したBchUを用いて、S-アデノシルメチオニンの存在下で数種類の人工基質(BChl d誘導体)に対する反応性の検討を行った。その結果、BchUは様々な基質に対して触媒活性を示したが、特にC-3位に1-ヒドロキシエチル基をもつ基質との反応性が最も高かった。したがって、BchUは合成経路上でクロリン環のC-3位の1-ヒドロキシエチル基を修飾する酵素BchFおよびBchVの下流で働いていると推測された。また、この反応特性は、既に決定しているBchUの立体構造からも支持される結果であった。現在、C-3位の1-ヒドロキシエチル基を認識すると考えられるアミノ酸残基に部位特異的変異を導入し、得られた変異タンパク質の活性を調べている。
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© 2006 日本植物生理学会
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