日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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緑色硫黄細菌 Chlorobium tepidum のゲノム中に存在する3-ビニルバクテリオクロロフィリドヒドラターゼ(BchF)相同遺伝子のヘテロな発現による機能解析
*熱田 真大関 智之伊藤 由加後藤 高紀小林 正美井上 和仁
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p. 566

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抄録
紅色細菌 Rhodobacter capsulatusのバクテリオクロロフィル (BChl) a合成経路では、クロロフィリドaのC-3位のビニル基が bchFにより水和化されヒドロキシエチル基に変換される。緑色硫黄細菌は鉄硫黄型の光化学反応中心を持ち、反応中心クロロフィルはBChl aのダイマー、初発電子受容体はクロロフィルa異性体である。また、アンテナ色素としてBChl cを持つ。解読されたC. tepidumのゲノム配列中にはbchFと高い相同性を持つ遺伝子が2種類(CT1421とCT1776)存在する。BryantらはBChl cのC-3位におけるR型とS型の光学異性体のうち、CT1421がR型、CT1776がS型の合成に関与するというモデルを提唱している。また、BChl aの合成においては、CT1421の寄与がはるかに大きいと主張している。今回、我々は、このモデルを検証するためにCT1421とCT1776を、それぞれR. capsulatusbchF破壊株へ導入した。その結果、CT1421導入株は野生株と同じ色素組成を示したが、CT1776導入株はBChl a合成量がかなり減少しており、Bryantらのモデルを支持した。現在、CT1421、 CT1776さらにR. capsulatusbchFをそれぞれシアノバクテリアSynechocystisに導入し、これらの株内に蓄積する色素組成を分析している。
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© 2006 日本植物生理学会
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