抄録
好熱性紅色光合成細菌Thermochromatium tepidumから精製された光合成反応中心複合体reaction center complex (RC)をシリカメソ多孔体(folded-sheet silica mesoporous material=FSM)へ吸着させた。FSMに吸着したRCの量は光学的測定および、窒素吸着によって決定された。0.29、0.02 mg/mgFSMのRCがそれぞれ、内部の直径が7.9、2.7 nmのFSMに吸着した。溶液中のRCが60 ℃以上の加熱後に活性を失ったのに対し、FSMに吸着したRCの光化学活性は、60 ℃以上で10 minの加熱後でも保持されていた。また、FSMに吸着したRCでDCPIPの光還元を確認した。電極を用いて電気エネルギーとして取り出すこともできた。疎水性のシリカメソ多孔体の内部環境は膜タンパク質の新しい母体となり、シリカと膜タンパク質の付加化合物は新しい反応システムの構築に有効である。