日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ Hd3a様遺伝子群の開花における発現制御機構の解析
*小宮 怜奈池上 顕子横井 修司島本 功
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p. 594

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抄録
イネの日長経路を介したシグナル伝達経路において、 Hd3aは短日条件下で開花を誘導する遺伝子とされている。イネのゲノム中には、 Hd3a とアミノ酸で高い相同性を示すFT-L1 (71%), FT-L3 (83%)等の Hd3a様遺伝子が存在する。
これらの3遺伝子について、開花まで10日おきの発育段階別の発現解析を行った結果、短日条件下において、 Hd3a及びFT-L3 の発現は、生殖成長期に移行する開花30日前に上昇した。一方FT-L1は恒常的な発現がみられた。また Hd3a及びFT-L3 は葉身での発現がみられたのに対し、FT-L1は葉身及び葉鞘で発現がみられた。
RNAiを用いて、 Hd3a様遺伝子の機能解析を行ったところ、FT-L3 抑制系統の開花に要した日数は正常型と同様であったことから、開花に関与しない可能性が示唆された。しかし、 Hd3a抑制系統は正常型と比較し、開花が約30日遅延し、開花の30日前で、FT-L1FT-L3 の著しい発現の上昇がみられた。以上のことから、 Hd3aが存在するときは、FT-L1FT-L3 は開花制御に関与しないが、 Hd3aの機能が損なわれると、代交して開花制御を担う可能性が示唆された。現在、 Hd3aによるFT-L1FT-L3 の制御関係についての研究を進めている。
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© 2006 日本植物生理学会
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