日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの花成制御因子に関与するリノレン酸は花成決定因子APETALA1 (AP1)遺伝子の機能を直接制御するのか?
*兒玉 なつ美小川 健一柳田 元継
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p. 593

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抄録
シロイヌナズナの花成はリノレン酸によって抑制される。低温(15℃)では、野生型植物(Col)は22℃での生育に比べリノレン酸の量が増加し遅咲きとなる。リノレン酸の合成酵素が欠損したfad3,fad7,fad8変異体は低温による花成の遅延が軽減されたことから、低温による花成の遅延はリノレン酸に起因することが考えられる。花成決定因子であるAP1を高発現させた35S-AP1植物は早咲きであるが、その表現型は低温で抑制され、さらにリノレン酸量を高めた35S-FAD3植物との交配によっても抑制されることからリノレン酸がAP1による花成の決定に直接影響することが考えられた。本研究ではap1変異体を用い花成の決定とリノレン酸との関連を調査した。Colを22℃で生育するとリノレン酸量が減少した後にAP1の発現の上昇が見られた。また、ap1変異体の中には野生型Colと比較して、低温よる花成の遅延を受けにくい変異体が認められた。以上からAP1分子にはリノレン酸と直接相互作用する部位があり、その相互作用によってAP1の機能が制御されることが考えられた。
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© 2006 日本植物生理学会
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