抄録
サツマイモ(Ipomoea batatas)の高い生産性は塊根のシンク能に由来することが知られている。塊根の形成過程に関してはこれまで生理学的、解剖学的な研究が進んでいるものの、その分子機構についてはほとんど明らかにされていない。本研究では塊根形成の分子機構の一端を解明することを目的として、塊根で発現するKnotted1型ホメオボックス(KNOX)遺伝子を単離し、その発現を解析した。
Class-I型KNOX遺伝子の保存配列から設計したプライマーを用い、発達中の塊根のRNAを鋳型としてRT-PCRを行った結果、4種類のKNOX配列(Ibkn1~Ibkn4)が単離された。ホメオドメイン部分の推定アミノ酸配列をもとに分子系統樹を作成したところ、Ibkn1はシロイヌナズナのSHOOT-MERISTEMLESSと、Ibkn2およびIbkn3はKNAT1と、Ibkn4はKNAT2とそれぞれ高い相同性を示した。挿苗後5週目のサツマイモ植物体における各遺伝子の発現をRT-PCRを用いて解析したところ、Ibkn2、Ibkn3、Ibkn4はいずれも茎および塊根で比較的高い発現を示した。Ibkn1も茎で高い発現を示すものの、塊根での発現は低かった。現在、各遺伝子のさらに詳細な発現解析を行って、その生理機能を検討中である。