抄録
イネのEL5遺伝子は膜貫通モチーフとRING-H2ドメインを持つユビキチンリガーゼ (E3)をコードしている。E3活性を欠失させた変異EL5遺伝子を過剰発現させたイネは、冠根原基が形成された後に壊死するために発根しないという表現型を示すことなどから、EL5は冠根および側根原基の分化後の発達にE3として機能することが明らかになっている(西澤ら、分子生物学会、2004)。
EL5の作用機構の解明をめざし、本研究ではEL5の発現を転写および翻訳レベルで解析した。EL5遺伝子の転写産物は主に冠根の発達が盛んである基部から検出され、オーキシン、サイトカイニン(BA)またはジャスモン酸(JA)処理によってさらに増加した。根においてはBAあるいはJA処理によって劇的に発現が増加した。EL5発現の組織特異性をEL5プロモーター::GUS遺伝子導入イネを用いて調べたところ、基部の節網維管束を中心とした維管束に強いGUS活性が認められた。また、BA処理により、根の伸長帯、根冠、側根基部において強いGUS活性の誘導が見られた。翻訳産物の解析では、EL5は非常に不安定であるがE3活性を欠失させると安定化したことから、EL5タンパク質量はEL5自身のE3活性によって制御されていることが示唆された。さらに、安定化させたEL5の解析から、EL5はN末端領域がプロセッシングされて細胞膜に局在化することが推察された。