日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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顕微FT-IRによるシロイヌナズナ根毛突然変異体の解析
*冨永 るみ岩田 美根子杉山 淳司岡田 清孝和田 拓治
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p. 617

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抄録
シロイヌナズナの根の表皮細胞は根毛細胞と非根毛細胞に分化する。この根の表皮細胞分化はCAPRICE (CPC), WERWOLF (WER), GLABRA2(GL2), GLABRA3 (GL3), TRANSPARENT TESTA GLABRA1 (TTG1)遺伝子等によって制御されている。
これらの遺伝子欠損株で、根の表皮細胞の細胞壁成分を顕微フーリエ変換赤外分光分析装置(顕微FT-IR)を用いて解析した。その結果、cpc-1, gl3-1, ttg1-1, wer-1突然変異体のスペクトルは野生型とほぼ同じであった。しかし、gl2突然変異体ではセルロース量が増加しており、GL2の過剰発現体では、逆にセルロース量が減少していた。Promoter-GUS及びRT-PCR解析により、gl2突然変異体ではセルロース合成酵素遺伝子AtCesA5の発現が上昇していることが明らかになった。GL2はHD-Zip転写因子をコードしており、HD-Zip転写因子はL1-boxと名付けられたcis elementに結合すると考えられている。AtCesA5遺伝子の上流にはL1-boxになりうる配列が存在した。以上の結果から、GL2遺伝子がAtCesA5遺伝子の発現を制御していることが強く示唆された。
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© 2006 日本植物生理学会
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