日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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根毛の形態形成におけるホスファチジルイノシトールリン酸キナーゼ遺伝子AtPIPK3の関与
*草野 博彰安田 敬子安喜 史織大橋 洋平島田 浩章岡 穆宏青山 卓史
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p. 618

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抄録
根毛は根毛細胞の先端伸長によって形成される単細胞器官である。最近、この根毛の形態形成にホスホリパーゼD(PLD)ζ1(AtPLDζ1)が関与していることが明らかにされた (Ohashi Y et al. 2003.)。PLDは脂質シグナル伝達物質であるホスファチジン酸を生成する酵素であるため、根毛形態形成の制御における脂質シグナル伝達系の関与が示唆されている。一方、動物における研究から、ホスファチジルイノシトール2リン酸はPLDの活性を制御することが明らかにされている。そこで、我々は根毛の形態形成に関わる脂質シグナル伝達機構を解明するためにホスファチジルイノシトールリン酸キナーゼ(PIPK)遺伝子に注目した。アラビドプシスのゲノムには11種類のPIPK遺伝子がコードされている。ノーザンハイブリダイゼーションによってこれらの遺伝子の発現を解析したところ、AtPIPK3は根で優先的に発現することが明らかになった。そこで、AtPIPK3遺伝子のT-DNA挿入変異体を解析したところ、根毛の伸長が抑制されていた。これにより、AtPIPK3遺伝子が根毛の形態形成に関与していることが示された。さらに、この遺伝子の発現、およびAtPIPK3タンパク質の局在について詳細に解析したので報告する。
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© 2006 日本植物生理学会
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