抄録
B3ドメインは植物に特異的なDNA結合ドメインであり、シロイヌナズナにおいては40個以上の転写制御因子がこのドメインを有している。これらの中には種子貯蔵タンパク質の遺伝子発現に関与する因子ABI3, FUS3, LEC2や、オーキシンのシグナル伝達に関与するARF遺伝子群(MONOPTETOUS等を含む)など、非常に重要な転写制御因子が含まれており、B3ファミリーの遺伝子は植物の発生に多方面から関与していることが予想される。また、ABI3等の解析から、このファミリーが被子植物界において広く保存され、機能していることも示されている。しかし、B3ドメインを有する転写制御因子の多くは未だに解析されておらず、その機能は全く不明なままである。
今回、我々はB3ファミリーの中でもABI3に近縁の遺伝子についてCRES-T法を用いた解析を行った。C末端にリプレッションドメインを融合したB3遺伝子をCaMV35Sプロモーターの制御下で恒常的に発現させたところ、実生において、子葉の融合・SAMの欠損などが観察された。表現型が強い個体はこの時点で致死性を示したため、表現型の弱い個体を用いてさらに観察を行ったところ、ロゼット葉の形態や葉序、花柄、花器官、胚発生や根の伸長などにも変化が見られた。これらのことから、当該遺伝子は植物の発生において多面的な影響を及ぼすような機能を有することが示唆された。現在、当該遺伝子の発現や機能についてさらに詳細な解析を行っている。