日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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クラスター分析と遺伝学的手法によるイネの草丈制御に関与する染色体領域の解析
*廣津 直樹柏木 孝幸円 由香石丸 健
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p. 640

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抄録
イネの草丈は、倒伏特性およびバイオマスに直接影響するため、農業上最も重要な形質の一つである。これまでの多くの研究により、草丈を規定する量的形質遺伝子座が複数の染色体上に検出されている。このように、草丈は多くの要因により決定されることが予想される。さらに、草丈を制御する因子は生育ステージによって異なることも予想される。そこで、生育ステージを通じて、イネの草丈を制御する遺伝学的な制御機構を網羅的に解析した。
コシヒカリとカサラスの染色体部分置換系統群(CSSLs)を用い、イネの栄養生長期を7つのステージに分け、それぞれの生長速度を決定する染色体領域(Chromosome Region Affecting Traits:CRATs)を解析した。その結果、CRATsは第1,2,6,7,8,9,12番染色体に検出された。さらにこれらのCRATsの作用は、生育ステージにより異なっていた。ユークリッド距離を用いた群平均法によりクラスター分析を行った結果、各生育ステージに作用するCSSLsをクラスタリングすることができた。これらの結果から、イネの草丈は、各生育ステージにおけるCRATsの網羅的な作用による複雑な制御機構により決定されると考えられた。
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© 2006 日本植物生理学会
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