日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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RNAiによるシロイヌナズナの葉緑体局在型ファージタイプRNAポリメラーゼ遺伝子の発現抑制
*壁谷 如洋杉田 護佐藤 直樹
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p. 657

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抄録
RNAiによるシロイヌナズナの葉緑体局在型ファージタイプRNAポリメラーゼ遺伝子の発現抑制

高等植物の葉緑体には、葉緑体ゲノムにコードされた原核型RNAポリメラーゼ(PEP)と細胞核にコードされたファージ型RNAポリメラーゼ(NEP)の少なくとも2種類のRNAポリメラーゼが存在する。PEPが光合成関連遺伝子を転写するのに対して、NEPはハウスキーピング遺伝子の転写を行っていると考えられている。葉緑体の分化初期にはNEPが主に働きPEPやリボソーム等の転写翻訳関連遺伝子を転写し、その後葉緑体の発達と共にPEPが構成され光合成関連遺伝子を転写すると考えられている。
本研究では、RNAi法を用いてシロイヌナズナのNEPであるAtRpoT;3の発現量を低下させた形質転換体の作製を試みた。この際、デキサメタゾン(DEX)を添加することで発現を誘導できるプロモーターを使用した。この結果得られた形質転換体は、培地にDEXを添加しdsRNAの転写を誘導させるとAtRpoT;3の転写産物量が減少した。この形質転換体は、DEXを添加した寒天培地上では子葉のみが白化するという表現型を示したが、通常の寒天培地上では野生型との違いは見られなかった。シロイヌナズナにおいてNEPの活性が最も高いとされる播種後48時間目の植物体の葉緑体遺伝子の転写産物量を調べたところ、DEX添加寒天培地上で生育させた形質転換体では、rpoBなど多くの葉緑体遺伝子の転写産物の減少がみられた。
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© 2006 日本植物生理学会
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