日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

緑藻Botryococcus braunii BOT-70株の炭化水素生合成系の特性
*池上 有希子田野井 孝子河地 正伸加藤 美砂子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 691

詳細
抄録
Botryococcus brauniiは淡水でコロニーを形成して生息する単細胞の緑藻である。B.brauniiの最大の特徴は、炭化水素合成能を有し、合成した炭化水素を細胞内外に蓄積することである。B. brauniiに蓄積されている炭化水素は、その化学構造からRace A、B、Lの3種類に分類されることが知られている。本研究では、広島県で単離したBOT-70株の炭化水素生合成系の特徴を調べ、この藻類を用いた効率的な炭化水素生産の可能性を探ることを目的とした。
14C-標識化合物を用いたトレーサー実験を行い、BOT-70株の炭化水素生合成系の特徴を調べた。[14C-methyl]メチオニンを投与すると、短時間で特異的に炭化水素に取り込まれることが示された。脂肪酸由来の炭化水素を生産するRace Aと判明している株では、このような現象は見られず、BOT-70株がその構造中に複数のメチル基を持つBotryococceneを生産するRace Bであることが示唆された。[14C-methyl]メチオニンからの炭化水素生合成能は、増殖初期に最も高く、増殖に伴い急激に減少した。それに対してNaH14CO3からの炭化水素合成能は対数増殖期初期に最高となり、合成能のピークは一致しなかった。また、Botryococceneの前駆体と推定されるIPPがメバロン酸経路とMEP経路のどちらを経由するかを検討している。
著者関連情報
© 2006 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top