抄録
バラ科果樹は糖アルコールの一種であるソルビトールを主要な転流糖とする。糖アルコール輸送体は配列から2つのグループに分類される。リンゴ、オオバコなどのソルビトール輸送体、セロリのマンニトールの輸送体が属するグループ(Group I)は比較的解析が進んでおり、細胞膜への局在が示されている。一方、アイスプラント(McITR)やシロイヌナズナ(AtITR)のミオイノシトール輸送体が属するグループ(Group II)の情報は少ない。McITRは植物では初めて液胞膜への局在が示されたことから、液胞への糖蓄積機能、特に果実液胞への糖蓄積に関わる分子として興味深い。そこで本研究ではバラ科果樹からGroup IIの輸送体ホモログを単離し解析を行った。セイヨウナシから2種類のMcITRホモログ(PcITR1、PcITR2)をクローニングした。器官別の遺伝子発現を調べた結果、PcITR1は葉以外の器官で高くPcITR2は葉で顕著に高かった。酵母発現系を用いPcITR1の糖輸送活性の測定を試みたが、明確な結果は得られなかった。PcITR1の細胞内局在を調べたところ, McITRとは異なり細胞膜に局在した。アイスプラントのMcITRの結果からGroup IIの輸送体は液胞膜局在であると考えられていたが、今回の結果からGroup IIにも細胞膜局在の糖輸送体が存在することが明らかとなった。