2022 年 4 巻 p. 14-32
新規に開発したホストゲスト相互作用形HPLCキラル固定相3種について、そのエナンチオ分離特性の評価と考察を纏めて論述する。β-シクロデキストリンと担体シリカゲルとの間に糖鎖を含む新規キラル固定相(SUMICHIRAL® OA-7000)が、従来のシクロデキストリン形固定相とは分離特性が異なる事を見出し、更に、水酸基をアセチル化したβ-シクロデキストリン形固定相(OA-7700)が、多くの芳香族キラルアミンに対して優れたエナンチオ分離能を有する事を示した。それらの要因について、分離メカニズムの観点から考察した。又、擬18-クラウン-6-エーテル誘導体をシリカゲルにアミド結合で固定化したキラル固定相(OA-8000)を設計し、その分離特性を評価した。キラル第一級アミンの分離において、OA-7700とOA-8000 が、ゲスト化合物の置換基の違いに対して相補的なエナンチオ分離能を有する事を見出し、その要因を考察した。開発したキラル固定相は、逆相系移動相を用いてキラル分離が可能で、キラル医薬品の分析に有効活用される事が期待される。