抄録
植物の主要な赤色光受容体であるフィトクロムB(phyB)は発色団を結合するN末端ドメインからシグナルを発信し、C末端ドメインは二量体化や核移行に関与する(Matsushita et al. 2003)。phyBのC末端ドメインはシグナル発信には直接関与しないものの、yeast two-hybrid等の結果から、phyBはこのドメインを介して青色光受容体であるクリプトクロムと物理的に相互作用する可能性が考えられる。我々はphyBのC末端ドメインを過剰発現する形質転換植物の表現型を詳細に解析し、これらの植物では青色光に対する応答が強まっていることを見出した(宇佐見他、日本植物生理学会2005年度年会)。
本研究では様々な光受容体の突然変異体背景にphyBのC末端ドメインを過剰発現させ、その表現型を観察した。その結果、phyBのC末端ドメインは主にクリプトクロム1のシグナルを増強していることが示唆された。しかし、免疫共沈降による解析からは、phyBのC末端ドメインとクリプトクロム1が物理的に相互作用していることを示す結果は得られなかった。phyBのC末端ドメインは核内に恒常的に局在し、顆粒状の構造体を形成するが、現在我々は細胞内局在や核内構造体形成能を変化させた改変C末端ドメインを発現する形質転換植物を作製し、phyBのC末端ドメインの機能についてさらなる解析を行っている。