日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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トマト芽生えの緑化過程で起こる光応答フック巻き込み反応とその意義
*七條 千津子高橋 美貴永利 友佳理鶴見 誠二田中 修橋本 徹
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p. 742

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抄録
発芽後地上に出た芽生えは、フックを開いて胚軸を立ち上げ、子葉を展開して光合成を始める。この双子葉植物の緑化過程は、光シグナルによって開始される。我々は、トマトを含む7種の芽生えにおいて、緑化過程の初期に光がフック形成を促進してフックを巻き込ませるステップがあることを見出している。このような現象は今まで見過ごされて来た。芽生えが地上に出ると、フックは不要であると暗黙裏に理解されてきたようである。
光によるトマト芽生えのフック巻き込み反応に関して我々が得ている知見は、1)光受容体はフィトクロムであり、赤色光(R)と遠赤色光(FR)のいずれもフックを巻き込ませる。FRの光受容体はphyAである。2)フィトクロムPfrによるフックを巻き込みにはオーキシンが必要である。3)エチレン及びジベレリンはフックを開く作用を持つが、Pfrはフック部でのエチレン生成を抑える、などである。これらの結果に加え、最近我々は、種皮の存在が光によるフック巻き込みをさらに増強することを見出した。子葉が種皮で覆われたまま地上に出た芽生えは、種皮を脱ぐまでフックを巻き込ませるからである。まるで光を避けるように、再び地中に潜り込むようにフックを巻き込ませる光の作用をその生理的意味も含めて考察する。
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© 2006 日本植物生理学会
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