日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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エンドウおよびアズキにおける耐塩性と不飽和脂肪酸との関連
*小林 雄二井上 佳代子村山 素嗣前田 良之但野 利秋吉羽 雅昭
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p. 812

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抄録
不飽和脂肪酸は、生体膜の機能に影響を及ぼす要因の一つであり、塩ストレスによってその含有率が低下する。植物の耐塩性と不飽和脂肪酸との関連は、一部の植物でのみ示されており、その機構については不明な点が多い。そこで、本研究では、マメ科植物の中で耐塩性が高いエンドウと低いアズキを供試し、植物の耐塩性と不飽和脂肪酸組成との関係について検討した。
閉鎖系温室(25℃、自然光)にて、0mMから200mMのNaCl処理を施した各植物体について、地上部および根部の脂肪酸不飽和度(不飽和脂肪酸含有率/飽和脂肪酸含有率比)、およびNa含有率を測定した。その結果、地上部の脂肪酸不飽和度は、対照区ではエンドウ(3.5)>アズキ(2.6)、150mM NaCl処理区ではエンドウ(3.0)>アズキ(1.2)であり、耐塩性の低いアズキにおいてNaCl処理による脂肪酸不飽和度の低下が顕著であった。特にC18(3)脂肪酸含有率の低下、およびC16(0)脂肪酸含有率の増加が顕著であった。地上部のNa含有率(mg/g・D.W.)は、150mM NaCl処理区でエンドウ(36)<アズキ(68)であり、このようなNa含有率と脂肪酸不飽和度との間に認められる負の相関関係は根部においても同様に認められた。
以上のことから、脂肪酸不飽和度の保持がエンドウの耐塩性に関与すると考えられた。
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© 2006 日本植物生理学会
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