日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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タバコFtsHプロテアーゼの機能解析
*松嶋 修平天野 豊己井川 裕之塩井 祐三
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p. 863

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抄録
FtsHプロテアーゼは,膜貫通型のATP依存性プロテアーゼであり,AAAファミリーに属する亜鉛要求性のメタロプロテアーゼである.このプロテアーゼは大腸菌などにおいて,その遺伝学的,生理学的な研究が進められている.高等植物では葉緑体チラコイド膜に存在し,サブユニットの会合が不全となったタンパク質複合体の分解など,膜タンパク質の品質管理を行っていると考えられている.また,光障害を受けた光化学系反応中心IIのサブユニットの代謝回転にも関与している.大腸菌に発現させたFtsHプロテアーゼはインクルージョンボディーを形成することが多い.このため酵素学的解析が困難であった.
タバコのFtsHプロテアーゼの構造は,中央にATPaseドメイン,C末端側に亜鉛結合領域,そしてN末端側に膜貫通領域が存在している.このうち膜貫通領域の疎水性相互作用がインクルージョンボディーを形成する一因と考えられる.本研究は,タバコのFtsHプロテアーゼの膜貫通領域を除去し,大腸菌を宿主とした大量発現を行った.この結果得られたFtsHプロテアーゼは,やはりインクルージョンボディーを形成した,しかし,これを尿素によって変性させた後,還元剤存在下で透析により巻き戻すことで,FtsHプロテアーゼが可溶化されることを見出した.現在,FtsHプロテアーゼの,至適pH,基質特異性などの酵素学的性質の解析を行っている.
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© 2006 日本植物生理学会
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