日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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緑藻クラミドモナスにおいてCO2応答性遺伝子を制御する因子CCM1の亜鉛結合性と複合体形成
*小日向 務西野 悠久山原 洋佑福澤 秀哉
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p. 862

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抄録
緑藻クラミドモナスやラン藻では、炭酸固定に必要なCO2が不足すると、能動的に無機炭素を細胞内に取り込む無機炭素濃縮機構(CCM)が誘導される。クラミドモナスにおけるCCMの発現誘導には、制御因子CCM1が必須である。CCM1タンパク質はアミノ末端に、2箇所の亜鉛結合ドメインが存在することが予測されている。そこで本研究では、CCM1のアミノ末端側71アミノ酸残基の領域をGST融合タンパク質として大腸菌で発現し、精製したタンパク質の結合亜鉛を原子吸光法で定量した。この領域には亜鉛が1原子結合していた。さらに、この領域中のHis-54残基をTyrに置換したところ、亜鉛結合性が失われた。His-54がTyrに変異したクラミドモナス(cia5株)ではCO2欠乏に対する応答性が失われたので、細胞のCO2応答性には、CCM1に亜鉛が結合する必要があると考えられた。細胞内におけるCCM1の分子量は、CO2濃度に関わりなく約95kDaであった。この値はcDNA配列から推定した分子量70kDaと異なっていたので、CCM1は翻訳後修飾を受けると考えられた。ゲル濾過分析では、CCM1は分子量290kDaを中心とした画分に検出されたので、CCM1は細胞内で複合体を形成していると推定された。
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© 2006 日本植物生理学会
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