抄録
イネの内在性レトロトランスポゾンTos17は培養時のみに特異的に転移する。再分化植物では転移は収まり、転移した部位に留まることから、効率的な遺伝子破壊系統の作出が可能である。これまでに、系統ごとに挿入位置の異なる約5万系統の日本晴遺伝子破壊系統を作出した。イネゲノムミュータントパネルプロジェクトに参画している研究室で分担して、圃場における各ミュータント系統の表現型を観察した。3年にわたる共同作業で、5万系統をほぼ網羅する観察データを得た。観察のステージとしては、発芽時、育苗期、最大分げつ期、出穂期、登熟期、および、種子で、コンピュータによる検索を容易にするために、代表的な表現型に関して、コード番号を割り当てて整理した。また、コード番号では表現しきれない表現型に関しては、観察者のコメントと画像データで判断できるようになっている。
得られたデータは、PostgreSQLで構築したミュータントパネルデータベースに整理し、隣接塩基配列情報とリンクして、目的の遺伝子が破壊された系統に関する表現型が一目で確認できるようにしている。これまでに、58,511件の画像データを得ている。
得られたデータは、http://tos.nias.affrc.go.jp/ の表現型データのリンクより閲覧できる。イネのFoxHunting系統とあわせて、イネ遺伝子の機能解析に有効なツールになると考えている。