抄録
本研究におけるイネ遺伝子機能解明システム〔FOX (full-length cDNA overexpressor gene) Hunting System〕の戦略は、トウモロコシ・ユビキチン(ZmUbi-1)遺伝子プロモーターの下流に接続した多種多様な完全長cDNAを、イネ植物体中で過剰発現させ、各系統に導入されたcDNA種の同定や表現型を順次解析しつつ、未知遺伝子の機能に迫るというものである。
これまでに得られた数千のFOXイネ系統(T1再分化当代)から順次ゲノミックDNAを抽出し、PCR法を用いて各系統に導入されたcDNAの解析を進めている。その結果、約81 %の系統で単一バンドが検出され、2本以上のバンドが増幅したものはわずか2 %程度であった。これら系統の一部についてゲノミックサザン解析を行ったところ、各系統あたりのT-DNA挿入数は平均2コピーであった。導入cDNA同定のため、約4,000のFOXイネ系統(T1世代)のゲノムDNAより増幅したcDNA断片をシークエンス解析した結果、cDNAのサイズや種類に偏りがなく、多様なcDNA分子種の挿入が起こっていることが判明した。以上の結果から、当研究で作出されたFOXイネ系統は、多様なイネ完全長cDNAを独立に過剰発現する形質転換イネのプールと見なされ、各種イネ遺伝子の機能解析に有効活用できるものと期待される。