日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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光周性花芽形成 ― その多様な分子機構 ―
*井澤 毅中川 仁根本 泰江矢野 昌裕
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p. S001

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抄録
4) 長日植物シロイヌナズナの最近の解析により、光周性花芽形成の分子機構はかなり明らかになった感がある。’60年代に生理学的解析から提唱された、光信号と概日時計の相互作用が基盤となり日長を認識するという「外的符号モデル」が、分子レベルでも大筋において正しかったことが明らかとなった一方、光信号の作用機作が、FKF1によるCDF1タンパク質、CRY2(PHYA) によるCOタンパク質といった、光受容体を介したキーとなる転写因子の安定性の制御が二重に存在するという機構は、我々の予想をはるかに超える知見であった。また、短日植物イネにおいては、Hd1COオーソログ)によるHd3aFTオーソログ)の転写制御が逆転しているという比較的単純な絵が見えてきた反面、Hd1タンパク質の安定性の制御がCOと同様な制御機構では説明できないことも明らかとなってきている。また、Ehd1といったシロイヌナズナのゲノムにはオーソログを同定できない因子がイネの開花の制御に重要な役割を示し、また、その発現が、光信号や概日時計で制御されることが明らかになりつつある。どうやら、高等植物の光周性反応は、我々の予想をはるかに超えて多様なようである。本発表では、シロイヌナズナの花を咲かせることができた花咲爺さんが、イネの花も咲かせることができるのかについて、最近の我々の解析を中心に紹介したい。
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© 2006 日本植物生理学会
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