日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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オオムギにおけるミネラルストレス耐性
*馬 建鋒
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p. S012

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抄録
オオムギは古くから世界で広く栽培され、その過程で様々なストレスに対する耐性機構を発達させてきた。本講演ではオオムギのミネラル耐性についてアルミニウム毒性ストレスと鉄欠乏ストレスに対する耐性機構を例に紹介する。オオムギは一般的にアルミニウム耐性が弱いとされているが、品種によってアルミニウム耐性が大きく異なっている。その耐性の差は根からクエン酸の分泌能に起因する。またクエン酸の分泌量に関与する遺伝子のマッピングを行った結果、アルミニウム耐性に関与する遺伝子と同じく、染色体4Hに座乗し、SSRマーカーHVM3,Bmag353とBmac310と連鎖していた。一方、オオムギは不溶性の鉄を獲得するために根から鉄キレート物質であるムギネ酸を分泌し、鉄―ムギネ酸錯体のまま輸送するという巧みな機構を持っている。我々は鉄ームギネ酸錯体の輸送に関与する遺伝子(HvYS1)を単離した。この遺伝子は主に根に発現し、鉄欠乏によって強く誘導される。In situ hybridizationを行った結果、この遺伝子のmRNAは根の表皮細胞に局在していることが明らかとなった。さらに、免疫染色した結果、HvYS1は表皮細胞の細胞膜に局在していた。酵母の鉄吸収欠損株による相補性実験およびアフリカツメガエルの卵細胞による電気生理学的な実験を行った結果、HvYS1が鉄―ムギネ酸錯体に特異的なトランスポーターであることが示された。
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© 2006 日本植物生理学会
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