抄録
セルロースは、地球上の二酸化炭素の持続的かつ生物的シンクとして最大のものであり、その大半は森林に存在する。しかしながら、地球上の森林は既に成熟期に達しており、光合成による炭素固定の収支はプラスマイナスゼロとなっている。地球規模で計画的に森林の再生と保全を行うとともに、炭素固定能の高い樹木、成長の早い樹木の植林が望まれている。
シンク機能を高めるには2つの方策が考えられる。ひとつは、セルロースの生合成そのものを活性化させることである。ここでは、セルロース合成酵素の基質であるUDP-グルコースの合成を触媒するシュクロース合成酵素(UDP + Sucrose = UDP-glucose + Fructose)の発現について紹介する。
もうひとつの方策は、樹木の成長速度を早くして、トータルとしてのセルロース生産量を高めるものである。植物の成長は、細胞壁によってコントロールされているため、「ゆるみ」を構成的に誘導すれば樹木の成長が促進されることになる。グルカナーゼをポプラで構成発現させることにより、セルロースミクロフィブリル間を架橋しているキシログルカンを特異的に分解し、細胞壁にゆるみをもたらせた研究について述べる。