日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

光化学系II複合体の構造解析の現状と展望
*沈 建仁内藤 久志古瀬 宗則西條 慎也大熊 章郎川上 恵典逸見 隆博神谷 信夫
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. S034

詳細
抄録
光化学系II(PSII)の結晶構造はこれまで演者らを含めて3つのグループから報告され、それらによりPSIIサブユニットの全体構造やほぼすべての電子伝達体の相対配置などが明らかになり、PSII機能の新しい側面が議論できるようになった。しかし、これまで報告されたPSII結晶構造の分解能は3.5A前後であり、PSII構成サブユニットの全アミノ酸残基の側鎖や水分解を直接触媒しているMnクラスターの詳細な構造を解明するにはいたっていない。演者らは好熱性ラン色細菌Thermosynechococcus vulcanus由来PSII精製方法・結晶化条件・結晶の低温凍結条件等を改良することにより分解能3.3Aの回折データを収集し、これを用いてすでに報告したPSIIの構造モデルを改良している。本講演では、改良されたPSIIの構造に基づき、PSII反応中心における初期電化分離とそれに伴う電子伝達反応、CP47, CP43から反応中心へのエネルギー移動、βカロチンを含めた二次電子伝達反応、水分解・酸素発生反応を直接触媒しているMnクラスター等の機能について議論し、PSII結晶構造解析の現状と課題について展望する。
著者関連情報
© 2006 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top