日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ紫外線抵抗性量的形質遺伝子座の検出と単離・同定
*上田 忠正矢野 昌裕
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p. S044

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抄録
イネは品種により紫外線に対する抵抗性が異なる。日本型品種品種日本晴はインド型品種Kasalathに比べて強い紫外線抵抗性を示す。日本晴とKasalathの戻し交雑後代系統群を用いた量的形質遺伝子座(QTL)解析により、少なくとも3つの紫外線抵抗性に関するQTLを検出した。それらのうち最も作用の大きい第10染色体の QTL(qUVR-10)については日本晴ホモ型の植物がKasalathホモ型よりも強い紫外線抵抗性を示す。1850個体の分離集団を用いて連鎖解析を行ったところ、qUVR-10領域は27-kbのゲノム領域に絞り込まれ、その領域内にCPD光回復酵素遺伝子が見出された。準同質遺伝子系統(日本晴の遺伝背景をもちqUVR-10領域がKasalathホモ型の遺 伝子型を示す植物;紫外線感受性)に日本晴由来のCPD光回復酵素遺伝子を含むゲノム断片を導入したところ、形質転換植物は日本晴と同程度の紫外線抵抗性を示した。このことからqUVR-10はCPD光回復酵素をコードすることが分かった。日本晴とKasalathのqUVR-10の塩基配列の比較により、アミノ酸置換を引き起こす1塩基多型が見いだされ、それが原因でKasalathのCPD光回復能力が低下していること推定された。さらに CPD光回復酵素の転写レベルを増加することにより、紫外線抵抗性が非常に強いイネを作出することができた。
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© 2006 日本植物生理学会
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