日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ栽培種間のUVB感受性差異は、シクロブタン型ピリミジン二量体光回復酵素の変異に由来する
*日出間 純熊谷 忠
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p. S045

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抄録
イネ栽培種の紫外線B(UVB)感受性は、品種間で大きく異なる。我々は、UVB感受性差異の要因を明らかにするため、UVB感受性が異なる種々の日本型・インド型イネ品種を材料に解析を行ってきた。これまでの結果をまとめる。(1)UVBによって誘発されるDNA損傷(シクロブタン型ピリミジン二量体(CPD)を修復するCPD光回復酵素の活性がUVB抵抗性品種では高く、感受性品種では低い。(2)酵素活性の違いは、酵素の構造変化による基質CPDへの結合能の変化に由来する。(3)酵素の構造変化は、CPD光回復酵素遺伝子の突然変異による、1または2カ所でのアミノ酸の変異に由来する:日本型イネ品種のCPD光回復酵素の遺伝子型は2つに大別され、UVB抵抗性を示す品種の遺伝子型は126番目のアミノ酸がGluで活性が高いのに対して、UVB感受性を示す品種は126番目がArgで活性が低い。また、インド型品種でUVB高感受性を示す品種は、126番目のアミノ酸がArgであるのに加えて、296番目のアミノ酸がHisとなり、さらに酵素活性が低下している。(4)このようなCPD光回復酵素の突然変異がUVB感受性差異を導く主要因であることを、連鎖・量的形質遺伝子座解析(QTL解析)から明らかにしてきた。本シンポジウムでは、イネ栽培種間におけるCPD光回復酵素の構造とUVB感受性差異との関係について討論する。
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© 2006 日本植物生理学会
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