日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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細胞周期制御に必須の共通因子cdc2の植物ホモログCDKAは雄性配偶体形成を制御する
*関根 政実岩川 秀和原島 洋文
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p. S046

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抄録
真核生物の細胞周期制御に必須の共通因子cdc2は、植物ではAタイプcyclin-dependent kinase (CDKA)がホモログで、G1/S期と G2/M期制御に重要な役割を担っている。私たちはシロイヌナズナのCDKA;1機能欠損変異体であるcdka-1を解析し、雄性配偶体形成を制御することを見出した。
cdka-1のホモ植物は発芽しないが、ヘテロ植物は正常に生育した。しかし、ヘテロ個体の成熟種子では、正常な種子と未発達の種子が1:1の割合で観察され、かけ合わせの結果、種子の異常は花粉が原因であることが分かった。次に、ヘテロ個体の花粉をDAPI染色後に顕微鏡で観察したところ、約半分に異常がみられた。野生型の成熟花粉には1つの栄養核と2つの精核がみられたが、ヘテロ個体では1つの栄養核と1つの精核様の核(精様核)しか認められなかった。cdka-1の花粉には精様核が1つしかないため、生殖可能であったとしても重複受精に異常を来たすと考えられる。そこで、ヘテロ個体の自家受粉種子の胚を観察したところ、8細胞期に異常がみられ、約半分は種子の大きさが正常なものより顕著に小さく、胚乳細胞が認められなかった。これらの種子では初期胚の発生がみられたことから、cdka-1の花粉の精様核は生殖可能で、卵核と優先的に受精することがわかった。以上の結果から、CDKA;1は雄原細胞から精細胞の分裂に必須で、cdka-1の花粉では受精種子の胚乳の発達が抑制されて胚が正常に発生しないことが明らかになった。
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© 2006 日本植物生理学会
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