抄録
【目的】植物において、ストレス応答や防御に関する多くの遺伝子が選択的スプライシングによる発現調節を受けている。我々はこれまでに、シロイヌナズナにおけるセリン-アルギニンリッチ(SR)タンパク質の一つであるatSR45aが強光により発現誘導されることを明らかにした。そこで本研究では、atSR45aのスプライセオソームにおける機能を詳細に解析した。
【方法・結果】atSR45aは自身の選択的スプライシングにより6種類の成熟型mRNA(atSR45a-1a~e, -2)を生成する。各スプライシング産物の発現量を解析した結果、5'-末端側のみの配列が異なるatSR45a-1aおよび-2 mRNAの発現率が強光条件下において増加していた。酵母two-hybrid法による解析の結果、atSR45a-1aおよびatSR45a-2タンパク質は、恒常的および選択的スプライシングにおいて5'-スプライス部位の認識に機能するU1-70Kタンパク質と相互作用することが明らかになった。また、atSR45a-1aおよびatSR45a-2タンパク質はそれら自身および互いと作用した。以上より、atSR45aはスプライセオソーム形成に関与することが示唆された。現在、atSR45aタンパク質が選択的プライシング効率を制御する遺伝子の同定を試みている。