日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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LC/ESI-TOF-MSによる2'-デオキシムギネ酸、ニコチンアナミンの新規微量定量法
*筧 雄介和田 泰明山口 五十麿高橋 美智子中西 啓仁森 敏西澤 直子
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p. 107

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抄録
2’-デオキシムギネ酸(DMA)は三価鉄キレーターとしてイネ科植物における鉄吸収に関わる重要な物質であり、またニコチンアナミン(NA)は金属とキレートし高等植物において体内の金属輸送に関わる重要な物質である。これらの物質の存在量の測定は植物の金属吸収、輸送メカニズムを解明する上で非常に重要である。現在用いられているHPLCと吸光度測定を用いた測定方法では100 pmol単位での定量が限界であり、測定のために大量の試料を必要とし、植物個体での各部位における濃度などを測定することは不可能であった。また、測定にも長い時間を要した。そこで本研究では液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレーイオン化法飛行時間型質量分析計(LC/EST-TOF-MS)を用い、HPLCと比べ約100倍の高精度を持ち、かつ簡便な測定法を確立した。フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)化したDMA、NAは極性が下がり、逆相カラムでの保持が可能となる。DMA、NAに相似の化学構造を持つN-ニコチルリジン(NL)を内部標準として用いることにより、DMA/NL、NA/NLのモル濃度比とマスクロマトグラム面積比との間で信頼できる検量線が得られた。この測定方法では米一粒のサンプルなどからHPLCの半分以下の処理時間、測定時間でDMA、NA両方を同時に測定できることを確認した。
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© 2007 日本植物生理学会
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