日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナのUNARMED9遺伝子はトライコーム密度の可塑的な制御に必要である
*吉田 祐樹高林 純示岡田 清孝
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 132

詳細
抄録
シロイヌナズナ表皮のトライコームは昆虫食害に対する構造的なバリアとして機能するが、傷害を受けた植物体はさらにトライコーム密度の高い葉を形成するようになる。これは表皮細胞がトライコームに分化する頻度の可塑的な変化であり、ジャスモン酸の生合成及びSCFCOI1複合体を介したシグナル伝達が必須である。
トライコーム数が極端に減少したgl1-2変異体背景では、トライコームの増減を感度よく検出できる。gl1-2を変異原処理し、ジャスモン酸に対するトライコーム増加応答が消失するものとしてunarmed9 (urm9)を単離した。urm9はアントシアニン蓄積や成長阻害などのジャスモン酸応答に関しては野生型同様であり、トライコームの密度制御に特異的な異常を示した。トライコーム分化に関わる変異体との二重変異体を作成して遺伝学的相互作用を調べたところ、urm9の原因遺伝子はGL1及びGL3と協調してトライコーム分化を正に制御すると考えられた。興味深いことに、urm9のマップ領域は、トライコーム密度の系統間QTLとして知られていたRTN/TDL2遺伝子座のそれとオーバーラップした。RTNのクローニングは未報告であるため、現在urm9の詳細なマッピングを進めると共に、urm9RTNのアレリズムについて検証を試みている。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top