抄録
clavata3 (clv3) は地上部分裂組織の肥大化、茎の帯化や花器官数の増大といった異常な表現型を示す突然変異体である。これまでに clv3 突然変異体の原因遺伝子がクローニングされており、 CLV3 遺伝子は分泌性リガンドをコードすると予想されているが、機能的な CLV3 リガンドの構造は未知のままであった。
本研究では、CLV3 の機能単位を探ることを目的として、様々なアミノ酸長の CLV3 ペプチドを化学合成し、これらを植物体に投与する生理学的アッセイを行った。この結果、 CLV3/ESR (CLE) ドメイン中の 12aa 配列が機能的に必要十分な CLV3 の最小単位であり、この合成ペプチドの投与により、CLV3 遺伝子の過剰発現時と同様に、茎頂分裂組織と根端分裂組織の縮小あるいは欠失をもたらすことを明らかにした。また、シロイヌナズナに含まれる 26 種類の CLE ペプチドに関しても同様のアッセイを行い、このファミリーに属するペプチド間に機能的冗長性が見られることを確認した。さらに、CLAVATA pathway の下流因子の同定を目的として、ペプチド投与による茎頂の欠失回復を指標にサプレッサースクリーニングを行っており、現在までに 11 line の候補を得ているのでこれについても報告する。