日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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BY-2を用いたケミカルゲノミクス的スクリーニングによる植物細胞の形態形成機構の探索
*米田 新近藤 陽一佐野 俊夫林 朋美馳澤 盛一郎長田 裕之松井 南
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p. 158

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抄録
高等植物細胞は、主に細胞膜直下に存在する表層微小管と、それにより配向が制御されている細胞壁内のセルロース微繊維により、その形が形成され維持されていると考えられている。しかし、表層微小管によるセルロース微繊維沈着方向の制御機構については、いまだ不明な点が多い。そこで、本研究では、表層微小管とセルロース合成酵素複合体の間に存在するであろうと推測されている未知の因子を探索することを目的とし、ケミカルゲノミクス的アプローチによりタバコ培養細胞BY-2の細胞形態に変化を引き起こす化学物質のスクリーニングを行った。材料には、GFP-チューブリンとヒストン-tdTomatoを発現させたBY-2の形質転換株BY-GTHR4を用いた。1次スクリーニングの結果、通常は円筒形のBY-2細胞が、特徴的に丸く膨れた細胞形態を示す化学物質がいくつか得られた。同様の細胞形態は、微小管破壊剤であるプロピザミドや、セルロース合成阻害剤であるDBNを加えた時にも見られたことから、得られた化学物質群は表層微小管ー細胞壁セルロース微繊維形成に依存した植物細胞の形態形成機構のいずれかの段階を阻害していると推察される。さらに、2次スクリーニングにおいて、カルコフロアによる細胞壁染色結果や、GFP-チューブリンによる微小管蛍光の観察結果により、これらの化学物質群の関わるであろう形態形成過程の推測と分類を行ったので、これらの結果について報告し考察する。
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© 2007 日本植物生理学会
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