日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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外力を受ける植物細胞内の表層微小管配向変化
*渡辺 宇外飯野 正昭木村 聡
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p. 160

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抄録
細胞壁は植物細胞の最外部にあり、その構造と力学的性質は、細胞・個体両レベルにおける適応形態形成や機械的支持機能に直接影響する。セルロースミクロフィブリルの配向は、細胞壁の構造と力学的性質に大きく影響し、この配向制御は表層微小管により行われていると考えられている。しかし、この表層微小管による配向機構を誘導する因子については、不明な点が多い。本研究では、植物が力学的環境に適応し形態形成を行う点に注目し、植物培養細胞に直接的に力を作用し、そのときの表層微小管の配向変化について観察した。
マニピュレーターを用いて細胞に直接圧縮変形を与え、かつ圧縮荷重を測定できる装置を構築した。細胞試料として、GFP-MAP4レポーター遺伝子で形質転換されたタバコBY-2細胞を用いた。形質転換BY-2細胞に対して、細胞長軸と垂直の方向に局所的に圧縮し、圧縮変形を保持したまま蛍光顕微鏡で表層微小管の配向を観察した。同時に、圧縮荷重を測定した。
10分間の圧縮変形により、観察される表層微小管の密度に変化が認められ、一部の微小管は消失した。また、伸長過程と判断される細胞では、10分間の圧縮変形により、表層微小管の消失と新たな形成による配向変化が認められた。無変形のまま10分間静置した細胞では、表層微小管配向の明確な変化は認められなかったことから、これらの変化は細胞に加えられた圧縮力によって誘導されたと考えられる。
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© 2007 日本植物生理学会
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