抄録
フラボノイドは、20万種以上に及ぶ植物の代謝産物のうち6000種以上を占めている。その多様性は配糖化、アシル化、メチル化といった多彩な修飾系に起因している。シロイヌナズナには、少なくとも19種類のフラボノイドの存在が報告されているが、その構造からは少なくとも9種類の配糖化酵素の関与が推測される。シロイヌナズナには、配糖化酵素をコードする107の遺伝子の存在が明らかにされている。しかしながら、配糖化は二次代謝産物に普遍的に見られる修飾系のため、その一次構造のみで機能を推定することは困難であり、今までに4種類のフラボノイド配糖化酵素遺伝子が報告されているに過ぎない。
昨年の本大会において、我々は、公開データーベースATTEDを用いた共発現解析によりフラボノイド生合成系に強く相関の見られる配糖化酵素遺伝子(UGT1)について、その推定アミノ酸配列およびT-DNA挿入変異体におけるフラボノイドプロファイリングにより、UGT1がフラボノイド7-O-ラムノシルトランスフェラーゼ(7RhaT)をコードしていることを示唆した。本大会では、組換えUGT1タンパク質を用いた実験およびT-DNA挿入変異体の相補実験によりUGT1がフラボノール7RhaTとして機能することおよびUGT1の基質特異性について報告する。またシロイヌナズナにおけるフラボノール配糖化経路についても議論したい。