日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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乾燥ストレス条件下で発現が抑制されるイネのOsPIF1遺伝子の機能解析
*戸高 大輔中島 一雄伊藤 裕介高木 優篠崎 一雄篠崎 和子
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p. 241

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抄録
イネの環境ストレス応答機構は、未解明の部分が多く残されている。我々は、マイクロアレイ解析によりイネの環境ストレス応答性遺伝子を数多く見出した。本研究ではそれらの内、乾燥ストレスによって発現量が著しく減少し、シロイヌナズナのPhytochrome Interacting Factor (PIF)と高い相同性を示すbHLH型転写因子であるOsPIF1の機能解析をおこなっている。これまでに、OsPIF1遺伝子の非ストレス条件下での明期における発現上昇が乾燥ストレス処理によって消失すること、OsPIF1過剰発現イネでは節間伸長が促進されること、逆にリプレッションドメインを利用したOsPIF1機能欠損イネでは節間伸長が抑制されることなどを示した。これらの結果はOsPIF1が乾燥ストレス応答においてイネの節間伸長を制御している重要な因子である可能性を示唆している。最近、トランジェント発現実験によりOsPIF1は転写活性因子であること、GFP融合タンパク質を用いた解析により核に局在することを示した。さらに、GUS遺伝子を用いた発現解析の結果、OsPIF1の節における強い発現が認められた。形質転換イネを用いたマイクロアレイ解析とトランジェント発現実験により、OsPIF1の標的遺伝子の候補の一つとしてエチレン生合成系の遺伝子が見出された。この遺伝子の節における発現は乾燥ストレスによって著しく減少した。現在、OsPIF1の標的遺伝子の同定を試みている。
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© 2007 日本植物生理学会
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