日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)で新たに見出されたペプチドグリカン生合成系遺伝子MraYMurGの解析
*保見 祥子武智 克彰滝尾 進高野 博嘉
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 266

詳細
抄録
葉緑体は藍藻から細胞内共生進化したと考えられているが、藍藻の細胞壁構成成分であるペプチドグリカン(PG)はどの緑色植物の葉緑体からも見出されていない。我々は蘚類ヒメツリガネゴケよりPG合成系遺伝子(Mur Genes)10種類の内 8種類を単離し、このうちPpMurEおよびPpPbp遺伝子をヒメツリガネゴケで破壊すると、両遺伝子破壊ラインで巨大葉緑体が出現することを見出した。ヒメツリガネゴケでは、UDP-MurNAcペンタペプチドのUDPをウンデカプレノールリン酸に置換するMraYと、それにGlcNAcを付加するMurGの遺伝子が見出されていなかった。これらを全ゲノム配列の決定が進行中のヒメツリガネゴケゲノム配列から見出し、RT-PCR並びにRACE法を用いて全長cDNAを決定した。PpMraYPpMurGはそれぞれゲノム中に1コピーずつ存在し、487、400アミノ酸のタンパク質をコードすると推定された。藍藻のMraYMurGとのアミノ酸配列の同一性はPpMraYが43.4%、PpMurGが35.8%であった。細胞内局在はPpMraYが葉緑体とミトコンドリア、PpMurGはミトコンドリアと小胞体と、用いた3種のプログラムで様々に予測された。PpMraYについて遺伝子破壊を行ったところ、遺伝子破壊ラインではPpMurEPpPbp遺伝子破壊ラインと同様に巨大葉緑体が出現していた。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top