日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

アナベナのペプチドグリカン合成系遺伝子AnaMurE、AnaPbp1AによるヒメツリガネゴケPpMurE、PpPbp遺伝子の相補解析
*高橋 良子武智 克彰池上 亮太滝尾 進長谷部 光泰高野 博嘉
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 267

詳細
抄録
蘚類ヒメツリガネゴケの葉緑体包膜間には、葉緑体の起源とされる藍藻由来のペプチドグリカン(PG)層は確認されていないが、その核ゲノム中には全てのPG合成系遺伝子が保存されている。PG合成系遺伝子のうち、PpMurE、PpPbp (ペニシリン結合タンパク質)遺伝子を、それぞれ遺伝子破壊すると巨大葉緑体が出現することから、ヒメツリガネゴケにおいてPG合成系遺伝子群が葉緑体分裂に関与していると考えられる。ヒメツリガネゴケにおけるPpMurE、PpPbpの機能を明らかにするため、アナベナ (Ana)MurE、AnaPbp1Aによる機能相補実験を行った。PpMurE遺伝子を破壊したヒメツリガネゴケにAnaMurEを過剰発現させた形質転換体では、葉緑体数の回復と巨大葉緑体の消失が確認された。一方、AnaPbp1A 遺伝子をヒメツリガネゴケPpPbp遺伝子破壊ラインに導入したところ、葉緑体の表現型の回復は観察されなかった。PBPはトランスグリコシダーゼと トランスペプチダーゼの2つの機能ドメインを持つため、PbPbp遺伝子内の一方の機能領域のみをAnaPbp1Aの機能ドメインで置換し、PpPbp遺伝子破壊ラインで強制発現させたところ、トランスペプチダーゼドメインを置換したもので葉緑体数の回復がみられた。これらの結果は、ヒメツリガネゴケとアナベナのMurE、Pbpの機能が同一であることを示唆している。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top