日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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G2/M期遺伝子群の発現を抑制するシロイヌナズナR1R2R3-Myb
山本 裕二郎*伊藤 正樹
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p. 283

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抄録
植物の発生過程における細胞増殖の制御は、個々の細胞の細胞周期制御因子を通じてなされていると考えられるが、そのメカニズムは多くの部分が未解明である。サイクリンBを初めとする植物のG2/M期遺伝子の転写は、共通のシスエレメントとそこに結合するR1R2R3-Myb転写因子群によって制御される。シロイヌナズナはR1R2R3-Mybをコードする遺伝子を5個持つが、それらは一次配列から3つのグループに分類される(A-type, B-type, およびC-type)。これまでの逆遺伝学的研究から、A-type MybはG2/M期遺伝子の転写を活性化し、サイトキネシスを正に制御することを明らかにしてきた。今回は、C-type Mybが逆にG2/M期遺伝子の転写を抑制する働きを持つことを明らかにしたので報告する。二つ存在するC-type Myb遺伝子の二重破壊株をマイクロアレイ解析した結果、CDC20KNOLLEなどのG2/M期遺伝子のmRNAレベルが野生株に比べ上昇していた。この発現の上昇は、A-type Mybの働きには依存しないこと、また発生初期の若い葉よりも、発生の進んだ葉において顕著であることが明らかになった。これらのことからC-type Mybの働きは発生が進み細胞増殖が停止した(あるいは停止しつつある)組織においてG2/M期遺伝子の発現を抑制することにあるのではないかと考えられた。
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© 2007 日本植物生理学会
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