日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナにおける26Sプロテアソームサブユニット欠損変異体の解析
*佐古 香織園田 裕山崎 直子佐藤 長緒山本 宏子池田 亮山口 淳二
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p. 284

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抄録
ユビキチン・26Sプロテアソームシステムは不要となったタンパク質を能動的に分解することにより細胞内の恒常性維持を行う“品質管理システム”として機能する。また、特定のタンパク質を然るべき局面で分解し、タンパク質の寿命決定を行う“分子スイッチ”としての機能も合わせ持つ。26Sプロテアソームを構成する数十のサブユニットタンパク質は、単なる複合体の構造要素として機能するだけでなく、個別の機能をあわせもっている。
本研究では、シロイヌナズナの26SプロテアソームサブユニットであるAtRPT2に着目した。AtRPT2a欠損変異体(Atrpt2a)は顕著な器官の巨大化を示し、これは細胞質分裂を伴わないDNA複製であるエンドリデュプリケーション(ERD)の過剰促進によって核内DNA量が増大したことに起因していた。Atrpt2aにおけるこのような過剰なERDは細胞周期制御の異常に起因すると推測された。実際、Atrpt2a変異体において、ERDの正の制御因子であるサイクリン依存型キナーゼ抑制因子KRP2の過剰な蓄積が認められた。研究成果をもとに、プロテアソームが関与する植物の細胞・器官サイズの決定機構について議論したい。
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© 2007 日本植物生理学会
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