日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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クロロフィルdを主要色素としてもつシアノバクテリアの光化学系II複合体の単離精製
*鞆 達也大久保 辰則秋本 誠志横野 牧生宮下 英明土屋 徹野口 巧三室 守
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p. 332

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抄録
Acaryochloris spp.はクロロフィルd (Chl d) を主要色素 (> 95%) として持つシアノバクテリアである (Miyashita et al. 1996; Murakami et al. 2004, Miller et al. 2005)。 A. marinaのChl a量は光質によって変化するが常に一定量存在している (Mimuro et al. 2004)。Huらよる過渡吸収の解析により (Hu et al. 1998)、光化学系Iの初期電子供与体はChl aでなくChl dであることが報告されている。しかし、光化学系II (PS II) 由来の遅延蛍光がChl a領域に観測されることが三室らにより報告されていることから (Mimuro et al. 1999, 2004)、PS IIの初期電子供与体のクロロフィル種の同定は議論が続いている。 我々はこの疑問を解決するためにPS II複合体の単離精製を試みた。2種類のカラムクロマトグラフィーとショ糖密度勾配遠心を組み合わせることによってPS II複合体の単離精製に成功した。単離されたPS II複合体はChl d, Chl a,フェオフィチンaおよびα-カロテンを持ち、電荷分離活性を保持していた。これらの結果に基づき、光化学系IIの性質について考察する。
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© 2007 日本植物生理学会
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