日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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青色光・緑色光によって可逆的光変換するフィトクロム様光受容体の低温紫外/可視分光解析
*吉原 静恵直原 一徳河内 孝之徳富 哲
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p. 338

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抄録
PixJ1は単細胞性シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803の正の走光性に必至なフィトクロム様光受容体である。フィトクロムと同じ赤色光を吸収する発色団phycocyanobilin (PCB)を結合するが、青色光吸収型(Pb型、最大吸収435 nm)と緑色光吸収型(Pg型、最大吸収535 nm)の間を可逆的に光変換する新奇の光受容体であることをすでに報告した。本研究では、PixJ1の光反応過程を明らかにするために、77~298 Kの範囲でPb型に青色光、またはPg型に緑色光を照射して紫外/可視吸収スペクトルを測定し、照射前後の各温度における吸収差スペクトルを調べた。さらに、PCBを結合したシアノバクテリアのフィトクロムCph1についても同様の測定をおこない、PixJ1の結果と比較した。
植物フィトクロムのPr型からPfr型への光反応では、Prからlumi-R、meta-Ra、meta-Rcの中間体を経てPfr型に変換することが知られている。lumi-Rは175 K以下(植物フィトクロム)または213 K以下(Cph1)で形成することが知られているが、PixJ1ではlumi-R様の中間体が77 K以下で生じることが分かった。250 K以上でPbからPgへの光反応が検出され、275 Kでほぼ反応が完了していた。以上の結果と低温蛍光の結果などをもとにPixJ1の光反応について議論する。
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© 2007 日本植物生理学会
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