抄録
ガラクチノール(Gal)より合成されるラフィノース属オリゴ糖(RFOs)の生合成はガラクチノール合成酵素(GolS)が律速である。我々はこれまでに、シロイヌナズナGolS1および2は熱ショック転写因子HsfA2の標的遺伝子であり、H2O2処理によりHsfA2と同様にGolS1および2もまた誘導を受けことを明らかにしている(Plant J. 2006)。そこで本研究では、GalやRFOsレベルと酸化ストレスとの関係を明からかにするために、in vitroおよびin vivoにおけるGalやRFOsの生体内抗酸化剤としての機能解析を行った。先ず、HsfA2が制御するRFOs合成関連遺伝子を同定するために、GolSおよびラフィノース合成酵素(RS)アイソザイムの発現をHsfA2過剰発現シロイヌナズナ(35S::HsfA2)において解析したところ、GolS1、2、4、RS2が転写レベルで誘導を受けていた。また、Galおよびラフィノース(Raf)は35S::HsfA2の葉で著しく蓄積されていた。さらに、酸化的ストレス条件下でもGolS1-4、8、RS2が誘導を受け、それに伴いGal、Rafの蓄積が認められた。一方、in vitroでのサリチル酸競合捕捉実験による解析おいて、GalおよびRFOsは高いヒドロキシルラジカル消去能を有していた。GalおよびRFOsを高蓄積するGolS過剰発現株は、野生株に比べて酸化的ストレス耐性能の向上が認められた。以上のことから、GalおよびRFOsは適合溶質としてだけではなく、抗酸化剤としても機能することが明らかとなった。